どの企業でも使っている電話ですが、そのメリットとデメリットについて意識したことはありますか?
電話には他のコミュニケーション手段と同様に、得意な事と不得意な事があります。しかし、現実には電子メールなど他の手段との適切な使い分けができておらず、明らかに不得意な場面で電話を使っている現場も多くあります。
ここではメリットとデメリットについて再確認し、他のコミュニケーション手段とどう使い分けていくのが良いか考えていきます。
メリット
速い・即時対応してもらえる
スピードが電話の一番のメリットです。
メールやFAXでもすぐに相手に届けることはできますが、相手がそれを見たかどうか確認できません。電話なら相手を呼び出して直接対話する事になるので、急いで対応してもらう必要がある要件は電話を使うのが確実です。
臨機応変な対応ができる
相手の反応を見ながら対応ができるので、臨機応変な対応ができます。疑問点などがあっても、その場で質問が可能です。
例えば、下の図の様な、相手の応答によって対応を変えなければいけない質問に向いています。これをメールで対応しようと思うと何度もやりとりする必要があるので時間がかかってしまいます。
相手を選ばない
電話を引いていない企業はほぼありませんからどこが相手でも使える方法です。相手を選ばないという点では郵便と並んで優れた方法です。これに加えて即時性を合わせ持つ手段は他にありません。
ただし、対応に必要なコストの関係で、通常の初回連絡はメール(フォーム)でしか受け付けていないという企業はあります。
デメリット
相手の時間を奪う
即時性がある反面、強制的に相手の時間を奪う連絡手段だという認識も必要です。相手の状況が分かりませんから、作業を中断させてしまいますし、電話が終わるまで相手を拘束する事になります。また、直通の電話ではなく固定電話にかけた場合は、相手に取り次いでもらうまでの時間も余分にかかります。
以前は「要件をメールで済ますなんて失礼」という方が多かったようですが、現在は「急ぎの要件でもないのに電話を使うのはマナー違反」と考える人も増えてきています。
急ぎでない要件や不在の場合は、必要に応じてメール等での連絡に切り替えましょう。
声だけで伝える必要がある
電話ではすべて音声で伝える必要があります。
身振り手振りもできませんし、文字や図表を使うこともできません。資料を添付することもできないので、伝えられる情報量には限りがあります。
また、音声だけではどうしても聞き間違えたり、聞き取れなかったりする事が出てきます。そのため、「相手の言ったことを復唱する」というのは電話対応の基本になっていますが、どうしても勘違いや聞き間違いは発生します。「相手の名前が聞き取れない」というのはよくある問題です。相手の名前に関してはナンバーディスプレイと住所録機能である程度対応できますが、肝心の内容に関してはそうはいきません。
電話は正確さや伝えられる情報量という意味ではあまり良いコミュニケーション手段ではありません。他の手段を使ったり、「事前にメールなどで要件の概要や資料、口頭では伝えにくい内容などを送っておく」「電話で決めた内容をメールで送る」といった様に、他の方法を併用する事でデメリットを軽減することができます。
記録に残らない
電話に録音機能がない場合はメモと記憶だけが頼りです。
電話だけで済ませてしまうと言った言わないの問題になったり、聞き間違いや勘違いがそのまま見落とされてしまう可能性が高くなります。必要に応じて確認メールを送っておきましょう。
1対1のコミュニケーションになる
電話では1対多のコミュニケーションができません。複数の相手に連絡するには人数分の時間がかかってしまいますし、相手によって内容が微妙に変わってしまう可能性もあります。そのため、電話は多数の人間に同じ内容を送る場合には適しません。
記録に残らない事もあって、「社内の他の人間がどのような対応を取っているのか分からない」「情報の共有ができない」といった問題があります。
電話だけでなく他の手段との併用を
相手を問わず、即時性に優れる連絡手段ですが、それ以外の面ではデメリットも多い方法です。決して万能ではありません。
電子メールであれば対応できる企業も多く、電話のデメリットを軽減する事ができます。まずは積極的に電子メールを併用または置き換えしていく様考えてください。
また、相手が誰でも使えるというわけにはいきませんが、ビジネス向けのチャットツールの利用も考えてみてください。電話のデメリットをほとんど打ち消す力を持っています。電話の様な即時性を保ちつつ、テキストでのコミュニケーションやファイルの送付、音声通話やビデオ通話にも対応できます。