地球温暖化の確かな証拠? 科学的な不確かさをどう考えるべきか(前編)

※この記事は書きかけです。本題の不確実性への対応がまだ書けていません。

地球温暖化(気候変動問題)について、「それ本気で言ってる?」と突っ込みたくなるような理論を主張する人を見かけます。結構影響力の大きいYouTuberさんもそういった発信されていて、コメントも賛同する意見一色になっていたりします。この状態はまずいよねと思っていたのもあって、このテーマで記事を書きはじめました。

最初にお断りしておきますが、私は工学・情報系の出身で、科学系の専門家でない点はご了承ください。この記事では、専門性のない事柄に対して一般人が、特に温暖化のような不確実性のあることに対してどう考えていったらいいのか?という事について書いていきます。

前提知識として気候変動について書いていたら長くなってしまったので、前半後半に分けます。気候変動自体に関しては、「少し興味のある一般人」レベルなので、詳細はご自身で確認していただいた方がいいと思います。

温暖化って本当なの?と思う方には、Q&A形式のこちらの情報が分かりやすいと思います。

また、内容が重くなりますが、IPCC(気候変動に関する政府間パネル) 第6次評価報告書(AR6)に関する情報も参考になると思います。

目次

こんな人が対象です

この記事は主に、これに対して「なんで?」と思う人に向けて書いていきます。

半分あってるけど残りは間違ってる

最近見た内容ですが、すべて前半は正しくて、全体の結論は間違っています。

  • 水蒸気による温室効果の方が圧倒的に大きい。CO2による影響なんて大したことないのに騒ぎすぎ。
  • メタンはCO2の25倍の温室効果がある。メタンじゃなくてCO2を規制するのはEUや企業の利益誘導で、日本は乗っかるべきじゃない。
  • 海面温度は0.x度しか上がってないから地球温暖化は嘘。
  • 東京(または特定地域や季節)の温度はむしろ下がってるから温暖化は嘘。
  • 今は間氷期で、この先氷河期に向かう。むしろ、二酸化炭素(温室効果ガス)の増加は歓迎。

一見正しい姿勢に見えるけど危うい

また、Yahoo!知恵袋でこんな質問を見かけました。この質問を見たとき、「陰謀論や偽科学に引っかかりそうな考え方だな」と感じてしまいました。

「地球温暖化は、二酸化炭素が原因って確かな証拠は、あるんですか?」

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14310438979

科学界では温暖化の進行に合意が取れている

結論から言うと 「人間の活動が地球温暖化を引き起こしている」という点に関して、科学界では圧倒的な合意が取れています。ニュースやネット上で、科学者や政治家、個人の「温暖化懐疑論」を見かけるため、「賛成50%:反対50%」や「賛成70%:反対30%」という状態を想像するかもしれませんが、実態は全く違います。

この合意は、単なる専門家の「なんとなくそんな雰囲気がする」というレベルのものではなく、膨大な観測データ、シミュレーション、そして何十年にもわたる研究の積み重ねによるものです。

本当に合意が取れているのか?

一部の機関や組織だけが声明を出しているわけではなく、世界中の複数の調査や独立した研究が87~100%に近い合意を示しています。以下にその代表的な調査結果を紹介します。

各論文の執筆者たちに同一の評価基準を使って各自の論文全体を評価してもらった。評価されたのは2000編以上の論文で、最近の温暖化の原因について考察している論文の97パーセントが、温暖化の大部分は人間が引き起こしたものだとする主張を支持していた。
https://ourworld.unu.edu/jp/climate-research-nearly-unanimous-on-humans-role-survey-finds

米シンクタンクのピュー研究所が2015年1月に行った調査によると、気候変動に関する科学者と一般人の見解の違いはさらに広がっているそうです。調査では、米国科学振興協会(AAAS)のメンバーと一般市民に、「人間の活動のせいで地球は温暖化していると思うかどうか」を尋ねました。

AAASのメンバーの87%はこの質問に対して同意を示しましたが、一般の人々の同意は50%に留まりました。一般市民のほぼ半数が、地球がそれ自体の活動で暖かくなっている、または気候変動の証拠はないと答えたそうです。
https://tabi-labo.com/159650/climate-change

複数の独立機関が過去19年にわたり行った研究によると、科学者の90~100%が、人間は気候変動に対して責任があることに同意しており、多くの研究で97%の意見の一致が見られることが明らかになっています。

2021年のある調査では、査読付き科学論文(発表前に当該分野の専門家による審査を受けた論文)において、気候変動を人間が引き起こしたことに関して、99%を超える意見の一致が見られることが明らかになりました。これは進化論の確実性と同等の水準です。
https://www.unic.or.jp/activities/economic_social_development/sustainable_development/climate_change_un/mythbusters/

全体として「人為的な活動が原因で温暖化が起きている」というのは、圧倒的な賛同を得ています。声が大きく見える反対派の意見も、科学的にはかなりの少数派だという事が分かってもらえたでしょうか。

また、IPCC(気候変動に関する政府間パネル) 第6次評価報告書(AR6)でも、極めて高い確率で、人間活動が気温上昇を引き起こしているとしています。冒頭にリンクがあるので、気になる方は直接見てみてください。

温暖化進行の根拠

本題ではないので、簡単な紹介にとどめます。

産業革命以降、CO2を含む温室効果ガスが急激に増加しています。それに伴い、世界の平均気温も約1.1°C上昇しました。気温上昇の原因は複数ありますが、現在の気温上昇の速度や規模は、人間活動なしでは説明できないとされています。

CO2の濃度が増加することで、地表から放射される熱が大気中に再放射され、温暖化を引き起こすというのが基本的なメカニズムです。これが温室効果と呼ばれる現象です。

温暖化が進むと何が問題なのか

温暖化の進行に伴って、単純な温度上昇以外にも様々な問題の発生が予想され、近年はそれが現実化してきています。特に、一定のラインを超えると元に戻らないティッピングポイント(臨界点)があり、対策を急ぐ理由にもなっています。

気温上昇がもたらす影響

異常気象の増加

地域や季節による天候の差が激しくなり、極端な乾燥、豪雨、が発生し、日本でも豪雨災害が増えています。海水温の上昇により台風(ハリケーン)も強力になり、被害が拡大しています。

アマゾンやアメリカでの山火事の増加が確認されている他、2024年のモロッコでは、最高気温48.3度を記録しています。

生態系への影響

多くの生物が温度上昇により同じ地域で生息できなくなり、絶滅に追いやられる種も多く存在します。移動のできないサンゴの白化はよく言われます。

日本でも、近海の水揚げされる魚種の変化や減少、農作物や果樹の不作という形で影響が出ています。

人間の健康や生活への影響

高温や熱波が原因で熱中症や心臓疾患のリスクが増加します。洪水や海面上昇によって沿岸部の都市や島が水没し、数百万人が移住を余儀なくされる可能性があります。

ティッピングポイント(臨界点)

ティッピングポイントとは、気候システムがある閾値を超えたときに急激かつ不可逆的な変化が起きる現象を指します。このラインを越えてからCO2排出を抑えたとしても、元に戻らない可能性が高い現象です。

北極海の氷の完全融解

北極海の氷が溶けると、白い氷が反射していた太陽光が海水に吸収されるようになり、さらに温暖化が進行します。光が深海に向けて吸収されていくイメージです。

アマゾン熱帯雨林の崩壊

アマゾンの森林が乾燥化して減少すると、二酸化炭素を吸収する力が失われ、温室効果ガスがさらに増加します。

南極やグリーンランドの氷床の融解

陸上の氷床が融解すると、海面が数メートル上昇し、島国や沿岸部の地域が壊滅的な影響を受けます。

大西洋の海流の停止

海流は太陽光によって暖められた熱を、高緯度地域に運ぶ役割があります。海流が停止すると、ヨーロッパや北米東部で急激な寒冷化が発生する可能性があります。

なぜ削減対象がCO2なのか

温室効果ガスはCO2だけではありませんが、対策の中心に置かれている理由は以下の通りです。

CO2が最も排出量が多く削減もしやすい

温室効果を基準に排出量を比べると、CO2が75%、メタンが18%になります。いくらメタンがCO2の25倍の温室効果があるといっても、量が圧倒的に多いCO2の方が温暖化への影響が大きいんです。

また、CO2の排出は人間の産業活動に直結していて、再生可能エネルギーの活用や省エネ技術、森林保護など、削減の手段も多くなっています。

長期的な影響が大きい

CO2は長期間大気中に残留します。メタンの温室効果は高いのですが、12年ほどで分解されてCO2になるため、長期的には二酸化炭素の削減の方が効果が大きいです。

他の温室効果ガス対策も進行中

CO2以外の対策も進められていますが、量や代替手段の問題から、効果は限定的になってしまいます。

たとえば、メタンは農業や廃棄物処理で多く発生しますが、完全になくすことは難しいのが現状です。

コストの高い畜産の代わりに、大豆や昆虫による代替肉を開発する動きもあります。しかし、あまり普及が進んでいないのが現状です。

後半に続く

地球温暖化(気候変動)については前置きのつもりで本題じゃないんですが、すでに4000文字を超えてしまいました。普通の一般人レベルの知識しかないからあまり詳しく書かないつもりだったのに・・・

長すぎるし体力も続かないので、記事を分けて、後日、続きを書きます。

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