地球温暖化の確かな証拠? 科学的な不確かさをどう考えるべきか(中編)

前編の続きです。

中編では、一般人が科学を評価することの難しさについて解説していきます。

なんかまとまってないなあとは思ってるので、一通り書き終わってから調整が必要ですね。

目次

なぜ一般人には科学的議論の評価が難しいか

膨大な前提知識が必要だから

ざっくり言ってしまうと、気候変動問題をまともに評価しようと思ったら、大学レベルの専門教育を受けた上で、関連論文を読み漁る必要があります。

ネット上にあふれている反対論の中には、少し考えれば論理が破綻していることが分かるものもあります。しかし、気候変動問題は専門家が長年議論してきて結論が収束しつつある分野で、ある理論を評価するには、まず、その理論が全体の中でどういう立ち位置なのか分かっている必要があります。

そのために必要なのがその分野の科学的基礎知識と、関連する研究への理解です。研究論文は単独で存在するわけではなく、既存の理論を組み合わせたり、補強、修正、否定することで発展していきます。特に、反対意見が出てきた背景や、その理論が現在の科学界でどう評価されているかが重要です。

これを一般人が独力で行うのは現実的ではないですよね。

複雑系の難しさ

複雑系とは、多数の要素が複雑に絡み合い、相互に影響を与えながら動くため、単純な予測が困難な現象です。ある条件が別の条件に影響を与え、想定外の変化が生じやすいため、正確なシミュレーションは難しくなります。気候変動問題も複雑系に含まれます。

天気予報や生態系などが代表例です。もっと小規模なものだと、交差点での人間の動きなどもそうですね。

「単純系」とは

複雑系の反対にあるのが単純系です。理科や科学の実験で行う様な、結果が簡単に予測できる現象のことを指します。

  • 振り子運動
  • 落下運動
  • ビーカー内の化学反応
  • 単純な電気回路

気候変動問題は「複雑系」

気候変動は温室効果ガスの増加だけでなく、様々な要因が関わっています。これらの要因が相互に作用し、複雑に絡み合っています。過去の気候変動では、温室効果ガス以外の要因がきっかけや主要因になっています。

  • 太陽活動
  • 火山活動
  • 海洋循環
  • 大気組成の変化
  • 人間活動

たとえば、太陽活動によって直接気温が変わるだけでなく、植物・動物の活動に影響を与えたり、大気組成にも影響を与えて温室効果を高めます。

スーパーコンピューターで計算する複雑な「モデル」

「二酸化炭素が増えれば気温が上がる」と言っても、どの程度増えるか予測するのは簡単ではありません。そこで、気候研究では条件(数値)と数式の集まりをコンピュータに計算させて、シミュレーションをします。これが「モデル」です。

現在、気候変動問題に関して使われているモデルは非常に複雑で、スーパーコンピューターを用いた計算が必要です。

1次元大気モデル(昔のモデル)1960年代に発表されたモデルで、その後のモデルの基盤になりました。地球の大気を鉛直方向のみに分割し、水平方向は一様と仮定した単純化された気候モデルです。
GCM (全球気候モデル)大気、海洋、陸面、海氷などの要素を考慮し、地球全体の気候をシミュレートするモデルです。
ESM (地球システムモデル)GCMに炭素循環や生態系などの要素を加え、より複雑な地球システムをシミュレートするモデルです。

科学的な不確実性

科学の世界では、常に「分かっていること」と「分からないこと」が混在しています。「分かっていること」についても、厳密に言えば「今分かっていると思われていること」になります。

シミュレーションを行っても、不確定要素があるため結果は1つに定まりません。

たとえば、温室効果ガスの直接的な影響は数式化されていて、種類別の影響度合いも概ね把握できています。この部分に関しては、大きく方向が変わることはありません。

一方で、雲の動きなどは流動的ですし、温度上昇による水蒸気の発生、山火事の多発による森林の消失など、二次的、三次的な要素は、どのように進行するのか計算が困難です。

そのため、シミュレーションをする際には複数のパターンを検討し、起こりうる確率とともに考えます。

  • 〇〇の影響が大きいパターン/小さいパターン」
  • CO2の削減が進んだパターン/あまり進まなかったパターン

科学的常識は変わるけれど 大きな方向は変わらない

科学の世界では以前は常識とされていたことが、新たな発見や技術の進化によって覆ることがあります。しかし、「隠れていたメカニズムが発見された」という形が多く、大きな方向性が突然逆転するわけではありません。 

また、同じ科学者からの反対意見(論文)も当然あります。そういった意見にも再反論や、仮説を補強する研究が進んでいき、精度が上がっていきます。現在はそうした中で「人類の活動によって地球温暖化が引き起こされ」「気候変動対策が必要」という結論になっています。

「未確定」なのを分かりながら対策をするしかない

「地球温暖化は証明されていない」というのは、対策をしない理由になりません。「完全に証明されたときには手遅れ」というよりは、「完全に証明されること自体ない」と思います。過去に起こった災害などに対する研究でも不確実な点は残るため、「こういう理由で起こったのなら観測結果と矛盾しない」というところまでしか分かりません。

私たちはそういった選択を常にしていて、不確実さと付き合いながら生きています。

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