「仕事の参考にならないかな」と思ってトヨタの工場見学をしてきたので、それについて書いていきます。
工場見学の概要
詳しくは公式サイトの工場見学の概要を見てもらえばいいのですが、ここにも簡単に概要を書いておきます。
見学は予約制
工場見学は予約制となっており、当日に行っても見学させてもらえません。1~2週間先は予約で埋まってしまいますので、早めに予約してください。
キャンセルが発生した場合に通知を受け取ることもできます。先の方の日付に予約を入れておいて、空きができたら日時を変更することも可能です。
16名以上の場合は別枠の団体扱いになるので、自前のバスにガイドさんが同行することになります。
開催は月曜~金曜日の10:30~13:00
工場見学はトヨタ本社地区にあるトヨタ会館という所で開催されています。予約制で、月曜日から金曜日まで、平日は毎日やっています(年末、夏期、ゴールデンウィークなどに休止期間あり)。
10:30と言っても工場への移動は11:00からで、それまではトヨタ会館の見学です。
見学対象は組み立て工場
見学工場は元町工場、高岡工場、堤工場の3つです。
私の場合は溶接工場も見学しましたが、時期によって「組み立て工場のみ」の場合と、「組み立て工場+溶接工場」の場合があります。ホームページを見る限りでは9月初旬〜12月初旬が溶接工場を見学できる時期のようです。
出発地「トヨタ会館」
先にも書きましたが、工場見学はトヨタ会館に10:30集合です。
出発地のトヨタ会館について少し書いていきます。
アクセス
公式サイトのアクセスを見てもらった方がいいかと思います。
徒歩で行く場合は愛知環状鉄道の「三河豊田駅」が一番近くになります。直通のバスもあるのでおすすめです。
私は最寄り駅からの乗り換え数重視で名鉄「上挙母」から歩いて行きました。道はほぼ直線で迷うことはないものの、早めに歩いて30分かかりました。あまりおすすめしません。ちなみに、駅は住宅地の真ん中の無人駅です。
展示内容
解説面ではプリウスやミライのカットモデル、動画による解説や、プロジェクションマッピングによる安全技術の解説などが見られます。
直接触って体験できるものとしては、ドライビングシミュレーターや同じ強度の素材の重さ比べ、ボディの傷探しなどがあります。
- 環境と感動(ハイブリッド技術などの解説)
- 安全と自由(安全機構の解説・ドライビングシミュレーター)
- 生産と創造(トヨタのモノ作りの解説)
- 企業と社会(私は見なかった。CSRとか?)
- クルマ教室(子供向けの解説)
- 車両展示
そんなに広い場所ではないので、トヨタ会館のみ見学ですと物足りないかと思います。
館内見学ツアー
月曜日~金曜日の10:10から館内見学ツアーを行っています。
利用される場合は先着20名ですので、早めに受付をしてください。
レストラン「ソシオ」はおすすめしない
地下には食堂があります。オーダーストップが13:30なので、工場見学後に利用する場合は早めに行きましょう。
正直、メニューは少ないですし、値段も高いので、外で食べることをおすすめします。唐揚げ定食で千円超えは高すぎます。
工場見学
備忘録も兼ねて工場見学と思ったことについて書いていきます。私の場合は元町工場を見学したので、他の工場では違うところもあるかもしれません。
また、主に自分の仕事に応用できるかどうかという観点で見ていたので、既に知っていたことや、私に関係ないことはあまり記憶に残っていません。
概略説明~工場見学~質問タイム
元町工場までは15分程度かかります。
行きにはトヨタ自動車の簡単な説明、帰りには質問タイムが設けられていました。
主要工場間の移動は15~30分
トヨタ直営の生産拠点は12工場。そのうち、9拠点は豊田市内に密集しており、工場間は15~30分で移動できる様になっています。
1工場内にプレス→溶接→塗装→組み立ての工程が揃っているものの、部品はグループ会社や協力会社から持ってきます。特にJIT生産を掲げているトヨタであれば、ドミナント戦略の様に近隣に工場を作るのは必須なのでしょう。
とはいえ、巨大地震が起きた場合に主要工場が全滅する可能性があるのでリスクも高いかなと思います。
この事はナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会(第5回)のトヨタの事業継続マネジメントの考え方でも書かれています。
災害対策として特別何かを行うのではなく、通常業務を通じて対応力の高いシステム(生産工程をシンプルで柔軟性のあるものにする)、人材(高スキルでフレキシブルに対応できる、改善力の高い人材)を作るという考えのようです。
広くて整った工場
組み立て工場に入って最初に感じたのが広さ。作業場の拡張・縮小や作業性、安全性を考えるとあれくらいいるのでしょうか。
上部も非常に見通しが良かったです。一部にあんどんなどの表示や自動搬送機械、見学通路などがあるだけで、ラックにものが積まれているという事もありません。必要最低限の在庫でスムーズに次の工程に流していくという考え方なので、効率の悪い上下移動は極力排除されているのでしょう。
作業場所と通路の境界、牽引車の停止場所、一時停止の位置などは、ラインを引いてしっかり区分けされていました。牽引車は枠に沿って綺麗に停止していきますし、一時停止に従って指さし呼称をしていたのが印象に残っています。
交差点でゆっくり動きながら指さし確認をしている人がいましたが、あれはトヨタのルール的に良かったんでしょうか?
運搬は牽引車・自動搬送機がメイン
フォークリフトはシャッター付近に1台いただけで、荷物の運搬は牽引車(タグノバ)に台車をいくつか着けたものを主に使っていました。
部品や空容器の積み下ろしはすべて手作業です。エンジンの様な重いものも台車にローラーコンベアが付いていて、供給場所に横付けすることで、手押しで荷下ろしができる様になっていました。
牽引車より台車の方が幅があり、台車が周りのものに引っかかる可能性があります。そこで、牽引車の一番前に台車の幅に合わせたやわらかい板が取り付けてあって、台車の幅が分かる様になっているのが面白かったです。
無人で走っているタグノバが何台もおり、床には誘導用の磁気テープが貼ってあるのが確認できました。
近距離は無人、遠距離は有人という使い分けだそうです。無人走行はどうしてもスピードが出ないので、搬送のタクトタイムに合わせてこの様な選択になっているのだと思います。
品質は各工程で作り込む 不良を後工程へ流さない
異常があった場合は即座に解決し、後工程に不良品を流さない様になっています。
作業者の近くには異常を知らせるボタンが付いています。これを押すとリーダーがサポートに来て、問題を解決する仕組みになっています。ラインは自動的に動いていますから、決められた範囲内で解決できない場合(次の行程に行ってしまう場合)は、問題が解決するまでラインが停止する様になっています。
異常を知らせる表示(あんどん)には、ライン上のモニターに「5R(黄色表示)」の様に個別に表示されるものと、ラインの形にランプが配置されていて、ラインのどの部分に異常が発生しているのか全体を見渡せるものがあります。
1個流し生産
トヨタの場合、同じ製品を連続して流す方式ではなく、車種やグレードの違う製品がバラバラに流れてきます。私が行ったときにはパトカーも流れていました。
開いたボンネットに「指示ビラ」と呼ばれる紙が貼られていて、それを見ればどのパーツが必要か分かる様になっています。
それだけでは部品の取り間違いが発生するので、必要な部品の部品棚が点灯し、間違いなく必要な部品が取り出せる様になっています(デジタルピッキング)。
ドアレス工程
塗装後ドアを組み付けますが、組み立て工程に入る前に一旦ドアを取り外します。ドアを別ラインで組み立てた後、再度ドアの取り付けを行います。
- ドアが開いた状態よりスペースが少なくて済むため工具類や部品を近くに置ける
- パーツ数の多い内部の部品組み立ての際に乗り込みやすくなる
- ドアが傷つくリスクが減る
ポカヨケ
電動ドライバーとポカヨケのランプが連動しており、締め忘れがあると赤ランプが点灯するそうです。
溶接工場は見るところがなかった
溶接工場は98%自動化されていて、アーム型の溶接ロボットがうねうね動いています。
正直、自分の仕事に活かすという意味では見所がなかったかなと思います。